なぜ読んだか
XでフォローしているいくおさんというEMの方の考え方がとても好きで、その方がOKRを実践しており、OKRについて学ぶならこの本だと紹介していたので、読んでみようと思った。
OKRとは
OKRとは、「Objectives and Key Results」の略称で、目標設定のフレームワーク。
- Objectivesは目標を指し、「何を」達成すべきかを表したもの
- KeyResultsは主要な結果を指し、「どのように」達成しつつあるかをモニタリングする指標
Objectivesで掲げた目標に対して、測る指標(KeyResults)をいくつか設定したものがOKRである。逆に言えば、その指標をすべて満たせば、目標を達成できたと言えるものでなければいけない。
主要な結果
主要な結果は、曖昧なものではなく、明確に定義する必要がある。「満たしているか」「満たしていないか」をはっきりと判断できるもの。
例えば「〇〇を改善する」という主要な結果はとても曖昧である。改善したのか、していないのかの判断がとても難しい。それよりも「〇〇を××%向上させる」という方が、達成の判断は明確に行える。
OKRがもたらすもの
OKRはただの目標設定の話だと思っていたのだけど、読み進めていくとそれだけではないことがわかった。
OKRがどういう効果を発揮するのか。自分の理解をまとめてみる。
フォーカスし、コミットする
OKRは無尽蔵に設定すればいいものではない。リソースは限られているので、無尽蔵に設定したところで、主要な結果を満たすことはできず、どの目標も達成できなくなってしまう。
だから、まずなにからやるべきなのかということを明確にしないと、そもそもOKRを設定できない。これはつまり、今なにをやるべきではないかということを明確にすることでもある。
この四半期で最も優先すべきことはなにか。なぜ、それを優先すべきなのか。
限られたリソースをどこにフォーカスし、コミットさせるのか。
OKRを設定すると、必然的にこの問いに対しての解を得る必要がある。
アラインメントと連携
OKRは設定したら、公開する。公開することが大事であり、透明性が何より重要である。
会社全体のOKRが公開されたら、メンバーは自分たちのOKRを設定する。
当然、自分たちのOKRは会社全体のOKRと結びつかなければいけない。全く関係ないOKRを設定していたら、「なぜこのOKRにしたんだ?」と突っ込みが入る。
会社のメンバーが、会社の目標と結びついた活動を日々行えるようにすることが、アラインメントである。
アラインメントとは突き詰めると、社員に会社は何を期待しているかをわからせることだ。
P.143
そして、この個人が設定したOKRも当然公開する。これはつまり、隣の席の人間のOKRも、別の部署の管理職のOKRも、公開されているので知ることができるということ。
自分以外の人間がどういう目標を定めているのか。その目標を達成するために、どういう主要な結果を設定しているのか。それを知っているからこそ、連携という協力体制がうまれる。
あの人のOKRを達成するためには、自分がこういう動きをした方がいいのではないか。
透明性を持ったOKRは、全員の進むべき方向を定め、全員が目標を達成できるために連携を促す。OKRを設定するだけでは効果を発揮しない。公開して、誰もがアクセスできるようにすることが大事である。
トラッキングし、適合する
OKRに定めた主要な結果は、測定可能なものであるため、日々進捗を追いかけることができる。設定して、期日が来たから振り返る、ということではない。常に、今のOKRの進捗率を測ることができる。
だからこそ、OKRの進捗率を可視化できるツールなどを導入する。
そして、進捗を日々トラッキングし、必要であればOKRを調整する。なぜなら、進捗が悪いということは、そもそものOKRの設定がよくなかった、という可能性があるからだ。
OKRは基本的により多くを達成するポジティブなツールだが、間違った方向に進むのを止める効果もある。
P.176
期日がきたら、OKRをどれだけ達成できたかを採点し、次に活かすための振り返りをすることも重要だ。
ただ、採点は少し難しい。主要な結果をすべて達成できたからといって、良い点数をつけていいとは限らない。幸運な要素が重なって、たまたま主要な結果を達成できただけなのかもしれない。主要な結果はあくまでも客観的なデータとして、そこに目標設定者の主観を混ぜて採点することが大事である。
そして振り返り、次のOKRに活かしていく。
- 目標はすべて達成したか。そうだとすれば成功要因は何か。
- 達成した場合、どのような障害があったのか。
- 完全に達成できた目標を書き直すとしたら、どこを変えるのか。
- 次のOKRサイクルへの取り組み方を変えるような学びはあったか。
P.185
コミットする目標と野心的な目標
OKRを設定するときに、達成することが困難と思われるとても高い目標を設定すると、ものすごいパフォーマンスが生まれることがある。
高い目標を建てたからこそ、その頂に登る方法を考え、登ることができる。そもそも高い目標がなければ、絶対にその頂に到達することはできない。
ただ、設定したOKRがすべて高すぎる目標だと、どの目標も達成することができずただただ疲弊してしまう。
完全に達成するべきコミットする目標と、達成がとても困難な野心的な目標の2つのカテゴリのOKRを区別し、適切なバランスで設定できると、最高のパフォーマンスが生まれる可能性が高まる。
無難なOKRを設定しただけでは、無難な成長しか遂げることができない。
読んでみて
読む前は、OKRという言葉は、目標と主要な結果をただ組み合わせたもので、その設定の仕方のノウハウが学べるものだと思っていた。
だけど、OKRは設定したものをどう運用していくかがとても重要で、その運用は、組織というものをどう強いものにしていくのか、という点にすべて繋がっていた。
- 組織のリソースをどのように有効活用するのか
- 組織の垂直の構造でどうやって同じ方向を向くのか
- 組織の水平の構造でどうやって連携するのか
それができれば、どんどん強い組織になっていく。サイクルの中で振り返りをし、さらに改善していく。どんどん強くなっていく。
これは、目標版のアジャイルなんだと思った。スクラムと考え方が似ている。目標設定も最初はうまくいかないかもしれない。でもOKRは賢く早く失敗することができるとも書いてあった。
OKRの根っこの部分の概念を学べたのでとても良い本だった。